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会社売却

企業でも法的整理ではなく一般M&Aが成功した事例

売り手会社の情報
会社住所 東京23区
事業内容 アクセサリー企画・販売(小売、一部卸)
設立年月日あるいは業歴 15年
資本金 300万円
譲渡理由 業績不振
譲渡形態 100%株式譲渡
譲渡額 1円
代表者あるいはオーナー等のM&A後の処遇 取締役として継続勤務
M&A後の従業員の雇用 全員継続雇用
直近期末の負債・未払残高、薄価純資産、時価純資産 負債・未払残高:1億円 純資産:債務超過1億円弱
直近期末の売上高、実質営業利益、実質経営利益 1.5億円 利益水準:薄価黒字計上も実質は赤字
買い手会社の情報
会社住所 東京23区
事業内容 アパレルメーカー
設立年月日あるいは業歴 10年
資本金 7億円
直近末の売上 60億円
M&Aを活用した理由 ブランドエクシパッション、新規事業の獲得
M&A実施によって得られる効果・シナジー

既存事業顧客へのクロスセリング、既存事業のリソース

ノウハウを応用することによる対象事業の業績向上

 

売り手は実質赤字の状況で、法的整理を受け入れられるかがポイントでした

 

このM&A案件は売り手様先行ということですが、どのような経緯でお手伝いすることになったのでしょうか。

松原:売り手側であるA社様、元々当社のクライアントで、以前は財務改善のコンサルティングを行っておりました。

今回のご連絡をいただいた時、既に財務コンサルティングの契約は終了していましたが、当社がM&Aの案件も取り扱っていることをご存知だったため、経営状況を把握している当社に任せたいとご相談いただきました。

 

ご連絡をいただいた時のA社様の状況はいかがでしたか。

松原:売り手会社の情報にもあるように、実質赤字の状況でした。

売上高のおよそ2/3に相当する約1億円を金融機関から借り入れていたのです。さらにリスケも行っていました。

このほかに、経営陣が個人資金を会社に1,000万円程度、貸し付けている状況でした。

A社様のような状況で、一般M&Aによる売却をすることは、決して容易なことではありません。買い手側の企業は、M&Aによって利益が出ることを望むため、赤字や債務超過がある企業の場合、どうしても評価が低くなってしまうのです。このようなケースのM&Aによる売却案件のご依頼をお受けする場合、売り手様は一般M&A以外の方法を視野に入れられるかどうかが重要となります。

 

一般M&Aによる売却ができない場合はどのように進めるのでしょうか。

松原:一般M&Aによって売却ができない場合、法的整理(例えば、民事再生、破産など)を含んだM&Aを受け入れることができるかどうかを確認する必要があるのです。

したがって、ご依頼いただくケースによっては、民事再生・破産などを伴うM&Aについて、当社の顧問弁護士も交えて、丁寧に説明させていただきます。

 

今回のA社様へも、当社の顧問弁護士を交え、法的整理とM&Aを組み合わせた場合のメリットとデメリット、自己破産の可能性あるいは回避の可能性などまでをじっくりとご説明しました。また、A社様の状況では、一般M&Aで引き受けていただける買い手様を見つけられない可能性もあるということを事前にご説明しました。

 

そうしたことをご理解いただいた上で、「まずは一般M&Aでチャレンジし、買い手企業が見つからない場合は、法的整理のM&Aも進める」という方針に同意していただきM&Aによる売却活動をスタートさせました。

 

業界にこだわらず、幅広い買い手候補を探しました

 

前提条件からして、なかなか難しい案件のように感じます。どのような方針で進めたのでしょうか。

松原: M&Aによる売却案件の話をいただいた場合、対象となる会社のサプライチェーンの水平方向か垂直方向、つまり売り手になる会社と近い業界の買い手を探すことが一般的です。

しかし、今回対象となるA社様は、事業規模が小さく、業績も不振であったため、同業あるいは近い業界から買い手候補を見つけることは非常に困難であることが予想されました。

そこで採用した方針が次の2つです。

①信頼できる同業の数社に買い手候補の探索を依頼する

②M&Aマッチングサイトを利用する

 

②のマッチングサイトは、誰でも利用できるものではなく、優良な買い手候補しか買収案件の登録ができません。また売却案件を登録できるのも当社のようなM&Aアドバイザー会社のみに限られています。類似サービスはいくつかありますが、なかでも最も信頼できる企業が集まるマッチングサイトを使うことにしました。

 

この方針であれば業界に縛られず、より広い範囲での買い手候補にアクセスすることができます。

2つの方針についてA社様から許可をいただいた上で、すみやかに実行しました。

 

この結果、マッチングサイトを通じてB社という会社からコンタクトが入りました。買い手候補を見つけることに成功したのです。

 

買い手候補から思わぬご提案をいただきました

 

B社からコンタクトがあった後はどのように案件が進んだのでしょうか。

松原:まずはコンタクトをいただいたB社様と秘密保持契約を締結します。それから売り手であるA社様の許可を得て、詳細資料をB社様に開示しました。

 

直ぐに、B社様から連絡がありました。細かな質問や追加の資料をもらうよりも、実際に売り手であるA社様のトップと会いたいとのご要望でしたので、B社様のオフィスでトップ面談を実施いたしました。

 

トップ面談ではどのようなことをお話しになられたのですか。

松原:トップ同士でお互いの人格や事業への想い、取得後の戦略などについて意見交換をされていました。深い話をするなかで意気投合されて、非常になごやかな雰囲気で進みましたね。業界は違っても、自社の事業に対する想いなどにシンパシーを感じられたようです。

M&Aも“ご縁”ですから、こうしたトップ同士合い通じるものがあると話も円滑に進むことが多いです。

なお、この段階で、A社様の了承を得て、法的整理+M&Aでも検討できる旨をB社様にお伝えしています。

トップ同士が意気投合されたので、細かな質問や追加資料の要望などもスムーズに行うことができました。また、店舗見学の機会も設けました。実際に店舗をご覧いただくことで、B社様はA社様の持つポテンシャルと自社事業をかけ合わせた時のシナジー効果で得られる利益をより感じられたようです。

 

こうした結果、B社様より、法的整理+M&Aではなく、一般M&Aのご提示をいただきました。全株式の取得額を1円とする一方で、有利子負債の連帯保証人を肩代わりするという案です。

 

B社が一般M&Aを望んだのはどのような理由からでしょうか。

松原:B社様が一般M&Aを選択した理由としては、法的整理とM&Aの組み合せの場合だと時間がかかる、ということが大きかったようです。ケースによって前後しますが、このM&Aのやり方では大体3カ月〜6カ月かかります。これに加えて、債権者への弁済は圧縮後とはいえ何も利益を生まない、ということも理由でした。

しかし何よりB社様が一般M&Aを選択した根底には、A社様を取得した後、早期に業績を向上させられるという道筋が明確だったことは言うまでもありません。

 

一般M&Aのご提案をいただいてからは、一気に話が動きました。譲渡代金以外の、取得後の代表者・経営陣・従業員の雇用や処遇について、細かい条件を決定しました。

 

A社様の従業員は、具体的にどのような条件になったのでしょうか。

松原:全員継続雇用です。A社様の代表も取締役として継続勤務されることになりました。A社様の代表がM&Aをするにあたってもっとも心配されたのが、従業員の将来でしたから、全員継続雇用になった時は非常に喜んでおられました。

B社様がM&Aをする理由というのが自社ブランドの拡張と新規事業の獲得でした。したがって、A社様の従業員は即戦力として貴重な存在だったのです。また、トップ面談時にA社様の代表が語った従業員に対する想いがきちんと伝わったことも、大きな理由の一つだったのではないでしょうか。

経営陣が対象会社に貸付けていた金銭の返済方法なども決めました。また、取得後の戦略のすり合わせも綿密に行いました。

 

上記のやり取りを経て、最終譲渡契約を締結するに至りました。残ったM&Aの経緯としては、金融機関、債権者、取引先への説明を行いました。

もちろん従業員(幹部・キーパーソン)への説明も欠かせません。ここが疎かになると、従業員が会社に不信感を持ち、離れて行ってしまいます。この案件では、全員が継続雇用されたことや、丁寧な事情説明がなされたこともあり、誰も辞めることなく話が進みました。

その後、決済を行いました。

 

決済までにかかった時間はどのくらいですか。

松原:B社様にA社様の詳細情報を開示してから決済まで、約2カ月というスピート決済です。

 

通常は決済までどのくらいの期間がかかるのでしょうか。

松原:もちろんケースバイケースではありますが、通常は3カ月から6カ月です。それから考えると、やはりスピード決済であったといえるでしょう。

 

本案件が一般M&Aとして成功した要因

 

この案件で特に留意した点などありましたか。

松原:先程簡単に触れましたが、本案件は旧経営陣も含めて全員が継続雇用であったため、

譲渡条件(全ての株式1円、有利子負債の連帯保証人の変更)以外にも、契約書に織り込むべき様々な交渉・決定事項がありました。

例えば、

・経営陣が対象会社に貸付けていた金銭の返済方法(額・期間含む)

・旧経営陣の報酬(業績連動などのインセンティブ設計)

などです。こうした点は注意しながら進めないと案件の“ちゃぶ台返し”の原因になってしまいます。したがって、きめ細かい対応が求められます。

 

今回の案件の成功要因は何だと考えられますか。

松原:本案件は当初、法的整理+M&Aという形式になる可能性が非常に高いだろうと思っていました。しかしそれを回避し、一般M&Aにすることができました。株式の譲渡額こそ1円でしたが、連帯保証人の解除までを行うことができたのです。

そうなった最大の要因は、買い手であるB社様が“スピード”を最重要視したことでしょう。法的整理+M&Aで使う時間、コストより、即座に業績改善に着手した方が遥かに大きなメリットがあると判断されたというわけです。

 

実際、B社様の優れた判断により、この案件は成功しました。M&A後は、既存事業顧客へのクロスセリングと、既存事業のリソース・ノウハウを応用することにより、A社様事業の業績向上を達成しています。

 

この事例は買い手様に恵まれたということもありますが、業績不振の企業であっても業種、業態、タイミングによっては、一般M&Aで成約することができるという好例であったと思います。

 

赤字や債務超過の企業であっても、こうした一般M&Aの可能性は決してゼロではありません。当社では幅広くM&Aの依頼をお引き受けしております。

既存のイメージなどで自己判断せず、お気軽にご相談いただきたいと思います。

 

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